子供のにきびの原因と対処法

にきびは、思春期になると顔にできる小さな発疹のことです。同じものが胸の上部や肩・背中にもできますが、それらは一般に吹き出物と呼ばれます。
・

思春期になるとホルモン分泌が盛んになり、皮膚に分布している皮脂腺がホルモン量の増加の影響を受けて皮脂を多量に分泌するようになります。その結果、皮脂が角質細胞（皮膚表面の細胞）の剥がれた残骸とともに毛穴にたまりやすくなり、小さなにきびが生成されます。

この段階のにきびは、皮脂と角質が毛穴に詰まって小さくわずかに膨らんだ状態で、まだ炎症を起こしていません。指先でつまむと、詰まっているゲル状の皮脂を絞り出すことができます。毛穴が開いていて中心が黒い点に見えるものを黒にきび、毛穴が閉じているものを白にきびと呼びます。
・

皮脂腺の奥には常在菌であるアクネ菌が棲息し、皮脂を栄養源としています。この菌が皮脂とともに黒にきび・白にきびの毛穴に入って増殖すると、脂肪が分解されてできる生成物によって毛穴が炎症を起こし、より大きな赤いにきびになります。

皮脂が多量に詰まっている赤いにきびは、アクネ菌がさらに増殖して炎症が進行し、膿がたまってにきびの膨らみも増します。さらに進行すると、毛穴の組織が破れ、炎症が真皮から皮下組織にまで拡大して痛みをともないます。この段階まで進行すると、にきびの治った跡があばた（窪んだ傷痕）となって残ります。

スポンサードリンク

にきび予防として脂質成分の多い食品を摂らないようにすることは、ほとんど無意味です。まして、成長期の子供の食事を外見上の理由から制限することは本末転倒です。良好な健康状態を維持することがにきび予防にとっても基本条件ですので、栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。

また、にきび予防としての洗顔は、1日に1～2回程度、皮膚に優しい洗顔石鹸を使って洗うだけで十分です。薬用石鹸やアルコールティシュを使うと、健康維持に有益な常在菌まで取り除いてしまいます。また、頻繁に洗顔することや強くこする洗顔、スクラブ洗顔などは、新陳代謝が活発な思春期の皮膚にとってはさほど有害とは思われません。しかし、にきび予防の観点からは、皮膚表面の角質層に少なからずダメージを与えると同時に必要な常在菌まで洗い流してしまい、皮膚のバリア機能を損なうことになりますので、なるべく避けるべきです。

炎症を起こしていない黒にきびや白にきびの治療は、市販のにきび治療薬で対応できます。抗菌効果と毛穴の詰まりを取り除く効果のある塗り薬を、にきびの部分にだけ塗ってください。一方、炎症を起こしている赤いにきびの場合は、症状に応じた効果的で痕を残さない治療が必要です。小児科または皮膚科を受診してください。
・