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子供の爪を噛む癖

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子供の爪を噛む癖

子供の爪噛みと赤ちゃんの指しゃぶりの関係


赤ちゃんは母親の胎内にいるときから指しゃぶりをしていると言われています。これは、口に触れたものを無意識に吸引しようとする吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)という本能的な行動です。人間だけでなく哺乳類に共通して見られる反射運動であり、赤ちゃんが生まれてすぐに母親の乳首を咥えて母乳を飲むことを可能にしています。

指しゃぶり_by_WikimediaCommons吸啜反射は一般に生後3ヶ月まで活発であり、ほとんどすべての赤ちゃんが指しゃぶりをします。ただし、成長とともに、指しゃぶりは単なる本能的な反射運動ではなく、欲求が満たされていないときの代償行為の性格が強くなります。例えば、赤ちゃんがひとりで眠るときの指しゃぶりは、母親の腕に抱かれたり添え乳(そえぢ、添い寝の授乳)をされながら眠ることの代償行為であり、空腹を感じてぐずり出す前に指しゃぶりをするのも、乳首を咥えることの代償行為と考えられます。また、視覚・聴覚の発達とともに身の回りの状況に不安を感じたときも、その不安に対する代償行為として指しゃぶりをします。赤ちゃんの指しゃぶりは、欲求不満や不安に対して心を落ち着かせる行為と言えます。

ほとんどの赤ちゃんは1歳から3歳までの間に指しゃぶりをしなくなりますが、歯が生え揃っていくこの時期には、それに代わって爪噛みが見られるようになります。もっとも、爪噛みはすべての幼児に見られるわけではありません。しかし、吸啜反射に始まる指しゃぶりの経験から多くの子供がしやすい行為です。幼児の爪噛みも、欲求不満や不安が強い場合に起こる代償行為と考えられています。


子供の爪噛みの習慣化とその悪影響


Nail-biting_by_WikimediaCommons爪噛み(英語で nail biting )は日本人にだけ見られる行為ではありません。カルガリー大学(カナダ)の研究チームが行った調査では、7~10歳の子供の 28%~33%、10代の男女の 45%に nail biting の癖が見られました。指しゃぶりの癖は 3歳までにほぼ終了しますが、爪噛みは長期にわたって習慣化し、しかも強いストレス社会の中では年齢とともに増加する可能性さえあります。実際、日本人の成人男女で爪噛みをする人は、年齢を問わず珍しくありません。

米国皮膚科学会と所属の皮膚科医師は、習慣化した爪噛みの健康上の悪影響を以下のように指摘しています。

① 爪の周囲の皮膚を傷める。
② 爪の組織が破壊され、爪が変形する。
③ 口から爪へ、または爪から口や顔へ細菌・ウイルスが感染しやすい。

爪噛みは、指先の化膿性疾患をはじめとする細菌・ウイルスによる感染症の原因ともなります。幼児のときの初期段階では、欲求不満や不安などのストレスが原因で爪噛みをしますが、習慣化するとストレスとは無関係に日常的に行うようになり、時間の経過とともにその悪習から抜け出せなくなってしまいます。

子供の爪噛みは、習慣になる前にやめるように指導しましょう。また、そのためには、子供の欲求不満や不安などによるストレスに敏感になり、子供の立場になってストレス対策を考えてあげましょう。

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