子供の下腹部の痛みや腫れから考えられる病気
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【症状】 初期症状は、乳児期には浅い眠り、不機嫌など。幼児期には、陰嚢・下腹部の痛み。進行すると、陰嚢・鼠径部(恥骨横の脚の付け根部分)の腫れ、痛み。
男児の下腹部には、腹壁の下部の左右から下に向かって鼠径管という短い管が伸び、陰嚢につながっています。睾丸(精巣)は通常、陰嚢の中にありますが、寒いときや体が冷えたときなどには左右の鼠径管を通って腹腔内に移動し、体が温まれば逆に陰嚢に戻ります。そのようにして睾丸が陰嚢に収まろうとするとき、腹腔の臓器を被っている薄い腹膜が引きずられ、袋状になって鼠径管に入り込むことがあり、さらに陰嚢の中にまで突き出して腹腔に戻らなくなる場合があります。この陰嚢の中に突き出た袋状の腹膜のことをヘルニア嚢と呼び、その状態を外鼠径ヘルニアと言います。また、ヘルニア嚢に小腸が入り込んだ場合を、一般に脱腸と言います。
外鼠径ヘルニアは成人男子にもしばしば見られますが、特に赤ちゃんから幼児のころに多く発生します。いわゆる脱腸を引き起こすと、ヘルニア嚢に入り込んだ小腸は血流が停滞し、壊死を引き起こす場合がありますので大変危険です。手術によってヘルニア嚢を取り除かなければなりません。手術は、全身麻酔による開腹手術か腹部に小さな穴を開けて腹腔鏡手術を行います。異常に気づいたときは、直ちに小児科を受診してください。
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【症状】 陰嚢・下腹部の急激な痛み。陰嚢が腫れ、触ると激痛を感じる。吐き気や発熱をともなう場合も。
新生児と思春期の発症率が高い男性の病気です。陰嚢の中で睾丸(精巣)が回転し、睾丸と腹部をつなぐ精索という管がねじれることにより発症します。精索には精液が送り出される精管のほかに睾丸に血液を送る血管が通っているため、ねじれによって血流が停滞し、血流停止から約6時間で睾丸の壊死が始まります。原因は、新生児の場合、睾丸が陰嚢の中で十分に固定されていないためと考えられますが、それ以外の年代でははっきりとしていません。
血流停止から24時間を経過すると、90パーセント以上の確率で睾丸は壊死すると言われており、壊死した睾丸は片方の健康な睾丸にも悪影響を与えるため、陰嚢の切開手術で摘出しなければなりません。また、血流停止から約12時間で睾丸の障害は回復不可能になるとも言われていて、その場合も摘出手術が必要になります。治療としては、切開手術によって精索のねじれをなくし、睾丸を正しい状態で固定する処置を施しますが、この治療は緊急を要しますので、異常に気づいたときは総合病院の小児科や泌尿器科を至急受診してください。
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