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子供の痰(たん) その種類と病気との関係

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痰は 気管・気管支と肺を守る粘液

痰の正体は、気管気管支から分泌される粘液です。気管・気管支の粘膜の表面は細かな線毛(いわゆる繊毛運動をする線毛細胞)に被われ、その間に粘液を分泌する杯細胞が多数分布しています。その粘液は気管粘液と呼ばれ、気管・気管支の粘膜を潤して内部を湿潤に保つとともに、空気に混ざって浸入したウイルス、細菌やその他の異物を表面に付着させて包み込み、繊毛運動で気管の外にまで排出します。そのようにして気管の出口である喉頭やのどの奥の咽頭にまで出てきた気管粘液のことを、私たちは痰と呼んでいます。

気管粘液の分泌と排出は休むことなく行われていて、痰は常に生成されています。私たちは無意識の内に痰を少しずつ唾液と一緒に飲み込み、食道へ押し流しています。しかし、健康状態が良好で汚れた環境の中にいない限り、痰は必ずしも不潔なものではありません。しかも、仮に病原性の細菌やウイルスが含まれていたとしても、飲み込んでに入れば、そのほとんどは胃酸によって死滅してしまいます。健康な人の日常的な痰の飲み込みは、不安に思うほどのことではありません。

気道_WikimediaCommons

痰の色は 無色透明・白色・黄色・緑色

健康な人の痰は無色透明です。しかし、病気(主に呼吸器系疾患)にかかっているときには、黄色・緑色など独特の色を呈することがあります。これは、痰の中に非常に多くの死滅した病原体と免疫細胞の残骸や破損した組織の細胞が含まれているためで、病気の種類によってその色が異なります。また、合併症を併発したときや病気の進行によって痰の色は変化します。以下に、痰が多く出る子供の病気と痰の色の代表例を紹介します。

白色・無色透明の痰   インフルエンザ         
                アレルギー性気管支炎
                気管支喘息

黄色の痰          風邪(薄い黄色)
                気管支炎(インフルエンザウイルス、肺炎球菌などによるもの)

緑色の痰          インフルエンザ菌感染症(気管支炎、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎)
                慢性気管支炎

赤茶色の痰        肺炎(肺炎球菌によるもの)

               ※ インフルエンザ菌はインフルエンザウイルスとは別種の病原体です。


血痰は 病気が原因とは限らない

血の混ざった血痰を見ると肺結核を連想するかもしれませんが、必ずしも呼吸器系疾患が原因とは限りません。むしろ、多少の痰のからみでもすぐに強い咳をして痰を出そうとする人に多く見られます。強い咳をしたときの呼気は音速並みの高速ですから、デリケートな気管や気管支の粘膜が簡単に傷つき、病気にかかっていなくても炎症を起こす危険性があります。そのような傾向が見られる子供には、静かな咳をするように注意しましょう。ただし、血痰が頻繁に出たり量が多いときには、危険な呼吸器系疾患の症状である可能性がありますので、迷わず小児科を受診してください。

病気のときに痰を飲み込むのは要注意

健康なときの痰の飲み込みを気にする必要はありません。しかし、風邪、気管支炎、インフルエンザなど呼吸器系の急性感染症にかかったとき、特に症状が快方に向かい、治りかけに出る多量の痰は、なるべく飲み込まないようにしましょう。このような多量の痰の中には、発病中の病原体だけでなく別種の細菌やウイルスも増殖して含まれている可能性があります。その点は、鼻水についても同様です。子供の場合、飲み込むときに誤って気管に入れてしまい誤嚥性肺炎を引き起こす危険性がありますので、病気のときの痰と鼻水はできる限りティシュペーパーなどで取り除くように心掛けましょう。

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