子供の涙目から考えられる病気
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涙は、左右の眼球が収まっている頭蓋骨のくぼみ、眼窩(がんか)の外側部分で眼球の斜め上方に位置する涙腺から、つねにわずかずつ分泌されています。その分泌量は、泣いた場合を別にすれば、1日に2~3mL(ミリリットル)です。成分のほとんどは水分ですが、粘性と潤滑作用のあるムチンや殺菌作用のあるリゾチウムなどのタンパク質成分が含まれています。目覚めているときには、まばたきによって角膜・結膜の表面に行き渡り、眼球の保護膜を形成しています。また、まぶたや眼球のスムーズな動きを可能にしています。
目を潤した涙のほとんどは、目頭の上下にある涙点という小さな穴から涙嚢(るいのう)へと排出され、さらに下へ伸びる鼻涙管(びるいかん)を通って鼻腔の下部に排出されます。しかし、何らかの原因で鼻涙管からの排出が滞ったり、涙の分泌量が鼻涙管の排出できる量を上回ると、目がいつもうるんでいたり、目尻に涙が滲んでいたりする涙目になります。子供がそのような日常的な涙目になる原因としては、以下のような病気や障害があります。
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【症状】 涙目、目やに。
乳児のときによく見られる先天性の異常です。涙点から鼻涙管までの涙道(るいどう)組織が未発達であるために涙が目からあふれ、目頭、目尻、まつ毛などに乾いた目やにができます。多くは生後3~12週頃に見つかりますが、涙道の発達とともに改善されて、生後6~9ヶ月ころに自然治癒します。しかし、その後も改善されない場合は、上記の症状ばかりか涙道に炎症を起こすこともありますので、耳鼻咽喉科または眼科を受診してください。
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【症状】 涙目、目やに。
後天性の涙道の異常です。高齢者にも見られる病気ですが、子供の場合は、風邪や急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎(俗称・蓄膿症)など、ウイルス・細菌の感染によって鼻腔が炎症を起こす病気にかかった際、炎症が鼻腔と直結する鼻涙管にまで拡大することによって涙の排出が滞ります。また、感染症が治癒しても、鼻涙管の異常が後遺症として残る場合もあります。小児科または耳鼻咽喉科を受診してください。
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【症状】 涙目、目やに、過剰なまばたき、光を眩しがる。異物感、目の痛み、結膜が充血することも。
逆まつげは、まつ毛が内向きに生えている状態のことです。まつ毛が眼球に触れて、上記のような症状が現れます。成人にもよく見られる異常であり、高齢者の場合はまぶたの皮膚や筋肉の老化によっても起こりますが、子供の場合は、まぶたの形状と毛根の付き方の先天的な異常が原因で発生します。
子供の先天性の逆まつげは、多くの場合、成長とともに改善されて1歳ころには治ります。従って、乳児患者の治療に当たっては、感染症予防のために抗生剤入り点眼薬を使用しながら経過を観察します。しかし、2歳になっても改善しない場合は、手術が必要です。なお、子供の逆まつげを自宅で抜いても、通常はまた同様の逆まつげが生えてきます。眼科または小児眼科を受診してください。
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