子供の口呼吸から考えられる病気
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赤ちゃんのほとんどは、口を閉じて眠っています。それは、鼻呼吸が人間本来の呼吸法であることを象徴しています。
赤ちゃんは授乳のときに口が塞がれてしまうため、鼻呼吸をする習性を生まれながらに備えています。ところが、やがて口呼吸を体得すると、幼児期には日常的に口呼吸をする子供が増え、つねに唇が半開きの子や、口をぽかんと開けている子が目立つようになります。このような口呼吸の習慣化は、子供の健康を阻害する要因となります。鼻の奥に広がる鼻腔は、複雑な構造と機能によって細菌・ウイルスや有害物質の進入を阻止し、吸気に適度な湿気と温もりを与えてのどの乾燥を防ぎ、呼吸器の機能を正常に保つのに役立っています。しかし、口呼吸をすると鼻呼吸はほとんど機能せず、病原体の空気感染と有害物質の吸引の危険性が高まります。
口呼吸の習慣化の要因としては、親による子供のしつけの問題も考えられますが、慢性的な鼻づまりが原因となっているケースが少なくありません。ここでは、口呼吸の原因となる慢性的な鼻づまりを引き起こす病気を紹介します。
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【症状】鼻づまり、鼻水。
鼻中隔(左右の鼻腔を隔てる扁平な軟骨)が何らかの原因で湾曲・屈曲している場合、鼻腔粘膜が厚くなって気道を狭くし、その影響で慢性的な鼻炎症状が現れます。それを慢性肥厚性鼻炎と呼びます。鼻中隔は本来、多少の湾曲した形状を呈していることが普通であり、それによる慢性肥厚性鼻炎はけっして珍しいものではありません。慢性的な鼻づまりの主要な原因となっています。
【症状】鼻づまり、鼻水、口呼吸、いびき、頭重感、頭痛、嗅覚障害など。
風邪などによる鼻腔の炎症が副鼻腔(鼻の両側にある空洞)にまで拡大し、鼻腔と副鼻腔をつなぐ孔が粘膜の腫れによって塞がれた場合、副鼻腔内に膿が溜まって炎症が慢性化します。膿状の鼻水が出つづけるため、口呼吸が常態化します。学業や日常生活に支障を来たすこともありますので、気づいたらなるべく早く耳鼻咽喉科を受診してください。
【症状】鼻づまり、口呼吸、いびき。難聴、睡眠時無呼吸症候群なども。
鼻腔につづく上咽頭(のどの奥で扁桃よりも上の部分)にあるアデノイド(咽頭扁桃)が増殖して肥大化することにより、気道を狭めて呼吸障害などを引き起こします。また、アデノイドのそばには中耳につながる耳管の開孔部(耳管咽頭口)があるため、耳管が塞がって難聴になりやすく、中耳炎を発症することもあります。ただし、幼児期におけるアデノイドの増殖肥大化はけっして異常なことではありません。誰にでも起こる現象であり、通常は3歳ごろから増殖しはじめ、6歳ごろに最大となり、以後次第に萎縮していきます。従って、この現象は一般に病気とされることはなく、難聴・中耳炎などの疾患を発症したときにアデノイド増殖症と呼ばれます。症状が重い場合にはアデノイドの切除手術を行いますが、免疫系の大切な器官であるため、通常は切除せずに対症療法だけで経過を観察します。
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